この連載では、2択形式で「あなたならどっち(を選ぶ)?」と問いかけます。その答えから導き出されるのは、健康を維持するために必要な情報です。選択を間違えたときは、思い込みをアップデートするチャンス! 何気なく続けてきた今までの習慣を見直して、健康習慣を始めましょう。

第3回歯と口の健康

80歳で20本の歯を維持できていれば、何でもおいしく食べられます。歯周病やむし歯で大切な歯を失わないように、プラーク(歯垢)を減らす生活習慣を実践しましょう。

Q口の中の細菌が引き起こす病気は?

歯周病やむし歯

糖尿病や脳卒中

答えはどっち?

上記で、あなたが正解だと思う答えを選択してください。

答えはAとB
答え
A 歯周病やむし歯
B 糖尿病や脳卒中
歯を失う原因の7割を占める歯周病とむし歯。原因は「プラーク(歯垢)」です。プラーク1mg中には、歯周病菌やむし歯菌など数億個の細菌がすみついています。歯周病菌はあごの骨を溶かし、むし歯菌が歯を溶かして、歯を失うことになります。

歯を失う原因
円グラフ:歯を失う原因
(公財)8020推進財団「第2回永久歯の抜歯原因調査報告書(2018年)」より

歯周病が全身に及ぼす悪影響

歯周病やむし歯は口の機能を低下させ、食事や会話に支障が出るなど日常生活の質が低下します。
また、歯周病菌や歯周病でできた炎症物質は歯ぐきの毛細血管から血液中に入り込み、全身をめぐって、命にかかわる深刻な病気を引き起こすこともあります。

  • 市区町村では「歯科健診」や「歯周病検診」を実施しています。歯周病の予防・早期発見に活用しましょう。
  • ※くわしくは、市区町村の広報やホームページをご確認ください。
図解:歯周病が全身に及ぼす悪影響

Q 歯みがきに最適なタイミングは?

朝食前と就寝前

毎食後と就寝前

答えはどっち?

上記で、あなたが正解だと思う答えを選択してください。

答えはB
答え
B 毎食後と就寝前
歯周病やむし歯の予防には、歯みがきによってプラークを取り除くこと(セルフケア)が大切です。「食べたらみがく」習慣をつけ、就寝前には必ず歯をみがいて口の中を清潔に保ちましょう。

上手な歯みがきのポイント

●歯間清掃用具でプラークの除去率をアップデンタルフロス、歯間ブラシなどを併用する

●就寝前はとくに丁寧にみがく就寝中はだ液の洗浄作用が低下し、細菌が増殖しやすい

●歯ブラシはこまめに交換する古い歯ブラシは、プラークを落とす機能が弱まる

●みがき残しをつくらないプラークのたまりやすいところを重点的にみがく

プラークのたまりやすいところ

図解:プラークのたまりやすいところ

Q歯医者さんには、いつ行く?

定期的に行く

症状がないので、行かない

答えはどっち?

上記で、あなたが正解だと思う答えを選択してください。

答えはA
答え
A 定期的に行く
歯科では、歯ブラシが届かないところにあるプラークや、歯ブラシでは取り除けない歯石(ブラーくが石灰化して硬くなったもの)を除去します。さらに病気の芽を見つけ、予防処置を行います(プロフェッショナルケア)。かかりつけ歯科医をもち、定期的な歯科健診で歯・口の健康、全身の健康を守りましょう。

イラスト:セルフケアとプロフェッショナルケア

コラム健診結果の読み方生かし方メタボリックシンドローム

生活習慣病の特徴は、自覚症状がないまま静かに進行していくことです。症状としてあらわれるときには、取り返しがつかないところまで悪化していることもあります。健診結果から、将来のあなたの姿を予測することができます。健診結果を活かし、生活習慣病を予防しましょう!

「メタボリックシンドローム」に注意しましょう

内臓脂肪の蓄積に加え、高血圧、脂質異常、高血糖の危険因子が2つ以上ある場合は「メタボリックシンドローム」と診断されます。


メタボリックシンドロームの診断基準(8学会策定基準)

  • 内臓脂肪の過剰な蓄積
    腹囲(おなかのまわり)男性85cm以上女性90cm以上
    これに加えて
    の2つ以上に該当
  • メタボリックシンドローム
  • +
  • 高血圧
    [収縮期血圧値]130mmHg以上 かつ/または
    [拡張期血圧値]85mmHg以上
    脂質異常
    [中性脂肪値]150mmHg/dL以上 かつ/または
    [HDLコレステロール]40mg/dL未満
    高血糖
    [空腹時高血糖]110mg/dL以上

メタボリックシンドロームの状態を放置しておくと、血管が硬く、もろく、狭くなって血流が滞りやすくなる「動脈硬化」が急速に進行し、心臓病や脳卒中など命に関わる循環器病を引き起こします。また、失明や腎不全などの糖尿病の合併症の原因にもなります。生活習慣を見直し、健康なライフスタイルを心がけましょう。

参考資料『健診結果の読み方・生かし方』監修:奈良信雄 順天堂大学 客員教授 東京法規出版刊